YOUさん:経済的に豊かな団塊世代に一人っ子として生まれ育ち、ピアノ、バレエ、書道、絵画、水泳など、週5日お稽古を習うような幼少期を過ごしました。芸能界に興味があるわけでもなく、やりたいこともやることもなかったような学生時代、フラフラ楽しく遊んでいましたね。高校2年のときに原宿でモデル事務所の方にスカウトされたことをきっかけに、モデルのほかにもラジオ、舞台、歌など、最初からマルチに仕事をしました。興味のないことは受けず、やりたいことをちょっとずつやってきました。18~30歳くらいまでバブルだったラッキー世代、TVも全盛期でいい時代でしたね。ひとにも時代にも恵まれました。有り難いです。
金:ご自身を形成する上で、影響を受けた方はいますか?
YOUさん:たくさんいらっしゃいますが、ダウンタウンさんにはバラエティのいろはをすべて教えていただきました。尊敬する先輩やスタッフさん、好きな方たちから影響を受けてきました。鍛えられて育った場所がバラエティなので、私にとってバラエティは安心できる場所でもあるんです。瞬発力が求められるけど、そこを教えていただいたので、ただただ楽しいんです。それなりに緊張はしますが、いい緊張感があります。バラエティには、とくに準備せず、備え要らずで、身ひとつで行き、共演者たちとの空気感ややりとりを楽しみます。
金:ひとの前に出るというお仕事で、大切にしていることって何ですか?
YOUさん:求められていることに応えることでしょうかね。バラエティでたくさんの共演者がいて、若いこたちがいるときは、私がそんなにお喋りしなくていいし、自分の立場を考えてひととは違うところを探します。メンツとTPOでできることを変えてやらなければいけない。それを考えるのも対応するのも好きですね。プライベートではやらないですけどね(笑)。私は意外と頑張っているんですけど、私といると若いこたちは気が楽になるみたいです。そんなに頑張らなくていいのかなとか、きちっとしていなくていいんだなと思ってもらえるみたいです。
金:周りにいい影響や安心感を与えてお仕事をされていて、素晴らしいですね。
YOUさん:いえいえ、お優しい。大人でも変な服を着たり、ちょっとふざけてもいいのかな、って思っていただけたらなって思っています。お仕事では最初に目的や目標をあまり設定しない方が、楽しみが増える。つい立ち寄ったとこで、ちょっと楽しいことがあったりするから、あまり決めないようにしています。
YOUさん:予定通りにいかないことだらけの子育てはとても大変で、息子とは性格が全然違うタイプ。自由に何でもやっていいよと言うと「わからない」って言うんです。息子はお手本があった方が進みやすいタイプ。私は、勝手に目標にしたいひと、信じたいひとのいいところをたくさんいただきつつ、わりと我流で進みたいタイプ。自分のことなら容易いのに、子供のために学校を決めたり、税金を納めたり、できるだけ責任を取りたくないと生きてきたのに、そうはいかない(笑)。壁にぶち当たった感じでした。育てやすい子でしたが、時間は取られるし、社会的な責任が生まれて、ちょっとそこまで考えてない自分がいましたね。でも子供がいたことで、まともでいられたなって。いなかったら、やばい自分になっていて、もう消えていたかもです(笑)。息子は、幼稚園から高校まで一貫教育の学校だったので、子供の親たちと仲良くなったのが一番嬉しくて楽しかったこと。リアルな友人や、芸能界とはまったくちがうフラットな関係で、家族で旅行へ行ったり、助けられたり。もう一回自分が高校生になった感覚でした。
金:子育てって、本当自分の思い通りにいかないし大変ですよね。息子さんはどんな存在ですか?
YOUさん:息子とは仲のいい関係ですけど、ボーっとしていて、私や私の周り、働いている環境など、敏感に過ごしているこっち側の感じじゃないので、イライラするんです(笑)。強さがないというか、何もわかっていない感じがしちゃって、ゆったりスロー。そこがいいところなのかもですが、子育てが終わったいまでも、ずっと心配です。いつまでも一生安心なんてできない。何が起こるかわからない世の中ですから。でも親子で性格がまったく異なるから、バランスがいいですね。
YOUさん:ひとに会っても、電車でも、ずっとひとの顔を見て楽しんでいます。変な靴履いているなとか、変なクセを見つけたり、勝手にあだ名をつけたり、面白いことがいっぱい目に飛び込んでくるので、楽しいんです。あらゆることを楽しむことが秘訣なのかも。一人っ子なので、ひとり遊びが好きですね。
金:観察することで、相手の気持ちを読めたり、バラエティの雰囲気作りなどに役立っているんですね。一人っ子だからこそ、長けているんでしょうね。
YOUさん:この楽しみを見出す習慣や観察することで客観的になるので、根拠のないような大人が言っている嘘とかが、すぐわかる子でしたね。ひとを見てそのひとがどういうひとで、何を求めているのかとか方向性など、すぐに察する能力があったので、友達を見つけたり作る上で大事なアイテムというか、役に立ったところがあります。仕事はお互い不満があってもやらなきゃいけないですが、プライベートは嫌なひととは会いたくないので、自分を守る意味で、身についているのかも。
YOUさん:美ね…じつは不得意分野です。仲のよい後輩MEGUMIに美容はすべて教わっています。友人たちとの会話は、美だけじゃなく、病院、墓とかが多くなってきましたね(笑)。
金:YOUさんのお肌とてもキレイですが、美のルーティンやホームケアはどうしていますか?
YOUさん:どんなに酔って帰宅しても、洗顔してパックをします。美白鎮静効果のあるもので洗顔をしてから、シートマスクを1分。有名な美容家が「美は1分でいい」と言っていたので、それを聞いて意識してやっています。乾燥肌なので、一番気にしているのは保湿です。顔以外にも、手や全身にも気を配ります。私は暑いのがキライなので、ニットとか着ないし、一年中半袖で薄着。冬も半袖にダウンとかね。前は年中ノースリーブだったんですけど、最近は半袖になりました。

金:ヘアスタイルへのこだわりはありますか?
YOUさん:美容室に行って思い通りになったことがなくて。長々とブローされ、どうでもいい天気の話とかが億劫で、18歳からヘアサロンに行くことを辞め、それ以来約40年、自分ですべてセルフカット、セルフカラーをやっています。息子の髪も私が切っています。クセ毛だから、20分くらいでできちゃうんです。サロンだと行き帰り入れて3~4時間かかるから、もう無理で…。いまはヘアメイクさんにお直ししてもらったりもできるし、好きな時に自分好みにできちゃうので、セルフケアいいですよ。
金:すごーい!YOUさん器用ですね!でもその気持ち、すごくわかります。私も、美容室で時間取られるのが、本当に苦手で面倒。ショートヘアだと頻繁に行かなければいけないし。予約もしないで運よく空いていたら行くので、自分でできたらいいですよね。美容は自分が好きなときに好きなだけするのが、一番いいなとの持論を持っています。無理せずストレスなく、同じルーティンの中で最高のパフォーマンスを出すことって、大切ですよね。YOUさんにとって女性の美しさって何ですか?
YOUさん:存在感があるひとって、自分に似合った行動をしていたり、服を着ている気がするので、素敵だなと思います。自分のことをよくわかっていて気づいているひと、自信があるひとが好きなのかも。自分の魅力に気づいていなくて隅っこにいるようなこも、好きですけどね。売店で働いているのにすごく可愛い女の子を見つけると、ブチ上がりますね。
金:自分の存在感を出せているかどうかは、そのひとの価値。ありのままの自分を出せているひとが、自信や自己肯定に繋がっていると思うんです。存在感って、相手が受け止めて感じるもの。自分の存在感がわかっているからこそ、相手にも伝えることができるものなんじゃないかなと。私は自己肯定感が高い方ですが、自己を肯定するから次のやる気に繋がり、頑張れる。自己否定すると可能性も閉じ込めてしまう。好きなことを自由にやっても、周りに受け入れてもらえるように、存在感のあるひとでいたいなって思っています。知らない間に、強くアピールしているかもですけど。
YOUさん:私も自己肯定感は低くはないですね。友達や環境のおかげで恵まれているのと、仕事の結果がわかりやすい職業なので、仕事がある、需要があるということは望んでいただけていること。有り難いし、頑張ろうという気持ちが生まれる。普通の仕事よりはわかりやすいので、勘違いしなくて済みましたね。
金:YOUさんの魅力である、エイジレスな自然な抜け感はどうしたら出せるんでしょうか?
YOUさん:楽そうに暮らして、楽しく生きています。いつも頑張らないから、それが出ちゃってる(笑)。楽そうとかゆるい感じ。若い頃、私はクラブなどに来ているお洒落な先輩たちやミュージシャンを見て、憧れて育った。才能やそのひとの持ち味が大切なことだと感じたので、ちゃんとすることは一番に大事なことではないと思っています。楽しいけど仕事はちゃんとやっている、みたいな大人になったんでしょうね。10年15年で状況やひとって変わるので、これが正しいってない。私は楽にやってきたら、こうなったよ!楽しいよ!というのを見せているから、若いこたちは、私のよさそうなところだけ取って、ハイブリッドに進化してくれたらいい。芸能界は自分のチカラがあるかどうか。私、普段は頑張らないけれど、仕事は頑張りましたよ。ずっとはできないけれど、集中するときは激しく緩急をつけてやってきた。それが上手にできると、ストレスも減る。なかなか難しいけど、30代40代になったら上手くできるんじゃないかなって思います。
YOUさん:特別なことをやりたいとかはない。健康で、友人と旅行したりしたい。穏やかな普通の老後を過ごしたい。どこまで元気かわからないし、だからといって食べ物をどうこうとかはしないタイプなので、楽しくヘラヘラしていたいですね。仕事に関してはいただける限りは、頑張って続けたいと思っています。でも、これをやりたいとか、新しいジャンルをやりたいとかは、昔から一切ない。突然閃いてやるかもしれないけれど、とくにヴィジョンを描くとかはないんです。感覚、タイミング、時代は変わっちゃうし、いま数年後どうなるか考えても、なんの役にも立たないから、なんにも考えていないです(笑)。考えた通りの未来や展開があるかわからないから、いまを存分に楽しんでいたいですね。